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【代表コラムvol.4】自宅の末路(事例紹介)

2025.03.25

家族を見守った家が、静かに放置されるまで

さて、とある1軒の空き家ができるプロセスをご紹介します。


ある家族が、郊外のニュータウンにマイホームを建て、移り住んできました。

そのニュータウンには、ちょうど年頃の同じ、子育て真っ最中の同世代の家族が多く住み、にぎやかで活気がある地域でした。子ども達の楽しそうな声が聞こえ、家族同士での付き合いもあり、住み暮らす住人にとって人生で一番楽しく幸せな時代でありました。

それから数十年の歳月が過ぎ、子供たちは成長し、それぞれ仕事に就き、新しい家族と共に生活をしています。

自分たちも歳もとり、会社も定年になり、第二の職場も終わりました。これからの老後の人生を模索しながら、悠々自適な生活を送っています。少々、経済的に余裕があることから、今の住まいをリフォームするか、市内中心地のマンションに移るかと思案していました。悩みましたが、高齢になった後の除雪や草取り等の重労働を考え、街中のマンションの選択肢を選び、引っ越しをしていきました。

 

最初は、草取りや、庭木の剪定、部屋に風を入れるために3日に一度の割合で自宅に戻ってきていました。それが1ヶ月、半年、1年・・・と、だんだんと足が遠のいていきました。庭などは次第に荒れ放題になっていき、近所の手前ますます帰って来にくくなってしまったのです。

最初マンションを購入する頃には、将来は子供たちの誰かが自宅に住んでくれるのだろうと安易な考えでスタートをしました。子どもたちもみんな独立して、それぞれマイホームを建てたことで、自宅に帰ってくることはなくなり、空き家の状態が続いています。

そうこうしているうちに、自分たちも人生を全うし、相続が始まりました。放置していた空き家を含めた財産をどのように分けるかで、子どもたちが揉め始め、解決ができず数十年も空き家の状態が続いています。隣接地や、近隣住民にとって、草や庭木が伸び放題で老朽化したこの家は、とても不気味な存在になってしまいました。


これは、空き家になってしまった家の一例です。プロセスはいろいろとありますが、決して人ごとではなく、ひょっとしたら自分の家族でも起こりうる可能性があります。

もし、「マンションに引っ越そう」と決めたときに、「子供たちの誰かが住むだろう」等と安易に考えず、子供たちを交えて、家をどうするかのよく話し合っていたらどうなっていただろうと考えます。少なくとも相続後にもめることもなく、空き家にせずにできたかもしれません。

さて、不動産が未管理空き家になってしまうことで誰が一番困るでしょうか。まず、一番困るのは隣接者です。そして近隣地域です。その放置された未管理空き家のせいで、隣接地の資産価値が下がったり、売却したくてもできないということが発生します。

これは、少し過激な言い方かもしれませんが、自分の所有する資産の価値を下げられ、損失を被っている訳ですから、原因を作っている空き家所有者は犯罪者と同等とみられても過言ではないのかもしれません。しかし今は空き家になっていますが、以前には住まれていて、ご近所付き合いをしていたことから、なかなか強く言えないという気持ちも理解できます。

兎にも角にも、放置していても何の問題の解決もしないため、隣接者、近隣住民、行政をも巻き込んで対応する必要があるのではないかと考えるところです。

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